おしどり夫婦T&A

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【文献読解】全ての医療者に向けて、経験・流儀・理論 臨床でアセスメントが出来るようになるまでの過程

こんにちは、おしどり夫婦T&Aです。

あの子、アセスメントできていないよね

医療の現場では、若手看護師のアセスメント不足!と言われ先輩看護師がしばしば話題に上げることがあります。
若手看護師からするとアセスメントの能力を高めるためには、どうしたら良いのか?悩むことがあるのではないでしょうか?

今回は、先輩看護師がアセスメントが何故出来るのか?若手看護師がアセスメント不足と言われる根本的原因は何があるのか?文献を用いて考えて行きたいと思います。

看護師、看護師と記載していますが、医師や臨床検査技師理学療法士作業療法士、栄養士の方にも使える理論なのではないでしょうか?
悩める社会人に向けて・・・・

参考にさせて頂いた文献
経験・流儀・理論
著:前田 樹海

結論:アセスメントが出来るようになるためには?

データから情報を生み出す過程で知識が必要。
知識は、経験知と暗黙知から形成される。
知識を積み上げることで知恵となり、今後の状態予測が出来るようになる。

アセスメントができるとは?

受け持ち患者さんの全体像が把握でき、必要なケアを考えること、術後合併症の予防ができる行動をとることが出来るようになること。
これには、臨床経験を積み、学習で得られる知識を増やし、臨床で培われる経験知や暗黙知を増やさなければならない。

では、どのような過程を辿って私達臨床家は、アセスメントが出来るようになるのでしょうか?
特に新人看護師や若手看護師の方に読んで頂きたい内容となります。

データ、情報、知識、知恵の階層性、関係性は?

Where in the wisdom we have lost in knowledge?
Where in the knowledge we have lost in information?

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DIKWヒエラルキー

Date:データとは

→解釈なしに客観的に表現される独立した存在
→分析者や問題解決者に与えられた未解釈の事項
※これを利用して分析や問題解決をしないものはデータですらない→データがどうか決めるのは私自身

Information:情報とは

→解釈されたり、整理されたり、あるいは構造化されたデータ
→利用者に意味をもたらすように統合もしくは解釈されたデータ要素の集まり
※情報には利用できる、意味をもたらすという含意があること、情報であるかどうを決めるのは利用者

Knowledge:知識とは

→相互関係が特定され形式化されるように統合された情報
→関係性や経験、ルールなどといった形式化であり、それによってデータから情報が形成される
※データから情報を生み出すには知識が必要である

知識はどのように得たのか?得られるのか?

①参考書た文献等の情報 勉強すれば良い
②看護師の経験の蓄積によって帰納的に得られる(経験知)

帰納的とは?
一般的にいえば、帰納とは何かしらの知的判断能力を有する生物が行動学習をする際の根本的な原理を定式化したものであるwikipedia
帰納 - Wikipedia
共通する特徴を見出し、自分でカテゴリー分けしあたかも知識としていること

経験知とは

自分の経験からの生み出しルールを元に意味づけした知識

高齢患者さんのルート確保の際に皮膚を伸ばすや血管が逃げないように確保するなど、自分の経験から‘こうしたら良い‘という経験則

Wisdom:知恵とは

→知識の原理を理解すると知恵になる

DIKWヒエラルキー(Zeleny,Ackoff,Bellinger)階層構造

ヒエラルキーとは?階層のこと

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看護師がアセスメントができるようになるための階層

データどおしの関係性を理解するとデータが情報に変わり、情報のパターンを理解するとデータが情報に変わり、情報のパターンを理解すると知識になり、知識の原理を理解すると知恵になるというものであり、知恵に進むしたがって理解度や結びつき度が大きなっていく

データを意味のある情報と認識するには、知識が必要である

情報を統合して臨床判断を下すことが知識
知識を元にこうしたら良い、次はこうなるという予測を立てて行動できることは知恵である。
よって、先輩看護師がテキパキ動けるのは、経験があるからである。ただし、人によってはテキパキ動けない人もいるため一様ではない。

DIKW定義に基づき、具体的事例を用いてみましょう。

あなたは、朝の情報収集を行っています。まず、検査データを確認したところHb(貧血データ)が下がっていることがわかりました。次に何を確認しますか?

新人看護師Aさん 4月
ベテランBさん

新人の場合 4月

ただ単にHbが下がっている。というデータのみの確認

Hbが低下している原因について考えることができません。

ベテランの場合

Hbが低下原因は何なのか?を考えることができます。
例えば、手術後の患者なのか?手術後の患者ならば、ドレーンの廃液量は?ドレーンの色は?まで必要な情報を収集することができると思います。また、Hb低下+PLT値やINR値、APTT値も合わせてデータの収集することができます。
データを集め、情報に統合できるのがベテランさんです。

また、Hbが低下している理由を含め自分の考えを元に医師へ確認することができます。

解説

ベテランの場合、Hbが低下している理由を自分の知識や知恵をもとに予測することができます。
これは、データ(Hb低下)から情報(術後?ドレーン)を連想し、データを集めることができます。その行動をとるには知識(経験)が必要です。
新人とベテランの差は、持っている知識の量が違うからです。

暗黙知とは「Michael Polanyiが提唱」 言語化不可能な知

知識を得るためには、経験知+暗黙知があると述べました。

we can know more than we can tell

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暗黙知

何が暗黙知で何が暗黙知でないかを明らかにするだけでも、経験を経なければ獲得できない知なのか、集合教育でも伝達可能な知なのかが判断でき、将来の教育計画の策定に役立つ

その通りです。
部署内で計画されている勉強会ってありますよね。企画者の自己満であることもあり、無駄に開催されることも・・・
勉強会では、対象者に対し
何を伝えたいのか、目的と目標を明らかにしなければなりません。
また、経験を積むことで身に着けることが出来る知識なのか、知識を伝えたいだけなのか?を勉強会企画の際に考えなければならない。

上述の通り、経験を積まなければならない知識の場合はいくら勉強会を開催しても、無駄とはいいませんが、方法は要検討だと思います。

まとめ

アセスメントが出来るようになるためには、
データから情報を生み出す過程で知識が必要。
知識は、経験知と暗黙知から形成される。
知識を積み上げることで知恵となり、今後の状態予測が出来るようになる。
知識は、文献等から得られる知識
経験から得られる知識、言語化できない暗黙知がある。

若手看護師の方は、とにかく経験で養うことが出来ない知識(勉強で得られる)を増やすことがステップアップ、アセスメントができる優れた看護師になれるのではないでしょうか?

最後に、看護師、看護師と言いましたが、これは医師や臨床検査技師理学療法士作業療法士、栄養士の方にも使える理論なのではないでしょうか?

参考にさせて頂いた文献
経験・流儀・理論
著:前田 樹海