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酸素療法を制する者は、リハビリを制する!! インスピロンマスク酸素濃度part①

こんにちは、看護師兼心臓リハビリテーション指導士として働いているdalecannonです

暫くブログ更新を怠っていました。継続は力なり。

 

後輩指導をしている際に

後輩:「インスピロンマスクの10L98%って設定されていますが、患者さんが吸っている酸素濃度は本当に98%ですか??」

dalecannon:「いやっ。98%ってことはないとは思うけど、どれぐらいの濃度を患者さんが吸っているんだろう」

dalecannon:恥ずかしながら根拠まで伝えることが出来なかった。

 

題して

「酸素療法を制する者は、リハビリを制する」

 

まず、医療現場で使用されている酸素療法の種類を思い出して下さい。 

括弧は現場での呼び名

 

 ①経鼻酸素(ナザール)

ホスピタルサービス 酸素カニューラ 大人用 HP3000

ホスピタルサービス 酸素カニューラ 大人用 HP3000

 

②簡易酸素マスク

ホスピタルサービス 酸素マスク(チューブ付)大人用 HP2000

ホスピタルサービス 酸素マスク(チューブ付)大人用 HP2000

③リザーバー付きマスク(リザーバー)

参考URL:

https://www.atomed.co.jp/product/cat_disposables/107.html

酸素フェースマスク リザーバーバッグ付

 ④ベンチュリ―マスク

⑤ベンチュリ―ネブライザー(インスピロンマスク)

 

 

現場でセラピストの方は見たことがあると思います!!

そこで質問です!!

患者さんが付けている酸素FIO2を理解して看護、リハビリを行っていますか?

 

では、それぞれのFIO2を確認していきましょう。

下図は、鼻カニュラ(ナザール)、簡易酸素マスク、リザーバーマスクのFIO2

f:id:cannondalecaddblog:20181108184004p:plain

http://www.covidien.co.jp/medical/academia/respiratory/oxygen

 

上記したFIO2を理解した上で患者さんが吸っている酸素濃度を把握しつつ、患者さんのSPO2モニタリングを行いましょう。

また、看護師の方は

患者さんの呼吸様式、酸素流量に応じて鼻カニュラ、酸素マスク、リザーバーマスクに変更していると思いますが、【何となく】ではなく【根拠をもって】医師の指示に従い装着しましょう。

時に医師も酸素療法を十分に理解していません。

例えば:SPO2:93%以下の場合、マスク3L/分へ変更!といった指示を出す方もいます。

この場合は、医師へ設定したいFIO2を確認することや、敢えてCO2を患者さんへリバースさせたいのか確認が必要ですね。


次に本題である

高流量酸素療法(ベンチュリ―マスク インスピロンマスク)について

まず、高流量酸素療法の適応、特徴から説明します。

 

適応:呼吸状態に関わらず安定した酸素濃度の酸素投与をしたい

注意点:成人の場合、総流量(酸素と空気の混合ガス流量)を30l/分以上に設定しないと、目的の酸素FIO2を維持することが出来ない。

 

上記は一体どういうことでしょうか??

解説:酸素流量を30L/分に維持しなければならない理由
Q1:分時換気量を計算してみましょう。

例)成人で一回換気量=500ml 吸気時間Ti=1secと設定した場合

解説:一回換気量500ml/秒×60秒=分時換気量30L/分となります。

理論上:設定FIO2を吸入するためには、分時換気量=ガス流量に設定しなければいけません。

なぜでしょうか??

Q2:分時換気量が30l/分以上患者さんにガス流量30L/分の場合は目標FIO2は供給できるでしょうか?

回答:目標FIO2を供給することが出来ない。

解説:分時換気量30L/分同等のガス流量を維持or分時換気量以上のガス流量を送り込まなければ目標FIO2は維持できない。

理由:分時換気量>ガス流量の場合⇒マスクの横から不足分の分時換気量(酸素FIO2:21%)を吸いこんでしまいます。

結果:目標FIO2%-21%×不足分時換気量 と理論上はなります。

 

以上の結果を踏まえた結果・・・・じゃがじゃん!

一回換気量500mlって肺活量ええかんじやん。無理やん??

Q3:一回換気量350mlの患者さんの分時換気量及び設定FIO2を維持するためのガス流量は?

結果:350ml/秒×60秒=21L/分以上のガス流量が必要

 

上記を踏まえ、下記の図をみてみましょう。

f:id:cannondalecaddblog:20181108190816p:plain

Q4:一回換気量500mlの方に対して、8L35%の指示が出ている場合の総流量はいくらでしょうか?
O4´:その総流量の場合は目標のFIO2は維持できているでしょか?

回答:総流量42.2L/分

⇒結果:FIO2:35%を投与出来ていることとなります。

 

Q5:一回換気量500mlの方に対して、8L60%の指示があった場合の総流量はいくらでしょうか?
Q5´:その総流量の場合は目標のFIO2は維持できているでしょか?

回答:総流量18.9L/分

結果:総流量18.9L/分のため、分時換気量30l/分以上のため

30-18.9=11.1L/分 はFIO2:21%をマスクの隙間から吸っていることとなります。

 

そこで気づくでしょうか?FIO2:98%って無理なんじゃ・・・

 

計算してみました。

Q6:FIO2:98%の設定にする場合の一回換気量は?

Ti=1sec設定で計算してみましょう。

 

解説:成人 一回換気量=●●ml 

一回換気量(●●ml/秒)×60秒=分時換気量12.5L/分=一回換気量208ml/分

理論上では、一回換気量208mlの方だとFIO2:98%の酸素濃度を吸うことが出来ると考えられますが、かなりの小柄な方や片肺の方でないと厳しいと考えられます。

 Q7:インスピロンマスクで吸うことが出来る最大の酸素FIO2はいくらでしょうか?

疑問ですよね!!

これらについて調べられた文献がありました。

文献の解読と私なりの理解については、次回のブログで記載します!

ちなみに下記参考URL、文献を貼り付けていますので参考にどうぞ。 

 

 下記 参考URL等

http://toku-venti.org/siryo/work2013/workshop2013_ryoho.pdf 

JSEPTIC CE教材シリーズ

http://www.jseptic.com/ce_material/update/ce_material_06.pdf

初めまして呼吸療法

https://hosp.komatsu.ishikawa.jp/local/pdf/syabondama_01.pdf

ベンチュリマスクの酸素濃度精度に関する研究 ─設定酸素濃度は信用できるか?─

著:山越霞、宮本顕二、笠原 敏史

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrcr/18/1/18_66/:_pdf/-char/ja

ネブライザー付酸素吸入器(インスピロンネブライザー, アクアパックネブライザー)で高濃度酸素吸入はできない 著:宮本 顕二

http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/043090502j.pdf

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