こんにちは、dalecannonです。
日々、臨床において新人看護師の指導を部署で担っています。
今回、下記の様に浣腸をする際に誤って直腸穿孔を起こしていまったというアクシデントがニュースで報告されていたので取り上げてみました。実際によく起こっているインシデントですね。何故、浣腸をする際に直腸穿孔を引き起こしていまったかを考えて行きたいと思います。
症例
80代男性Aさん。大腸癌術後のため人工肛門を増設されていた。男性Aさんが便秘を訴えられたため担当看護師Bさんは、「便秘だから浣腸をしてあげないと」と思いました。医師の指示を確認すると、「便秘時は、グリセリン浣腸施行」となっていました。医師の指示に則り「立ったままで、グリセリン浣腸を施行」グリセリン浣腸後にfree airが見つかり直腸穿孔していたことが発覚した。
症例の問題点
問題点①
人工肛門増設後のため、グリセリン浣腸が施行出来るわけがない。
問題点②
グリセリン浣腸時の態勢について
問題点① 解説
人工肛門とは?
上記の様な腸を体表に出して、そこからパウチという袋を付けることで、ここから排便する様になります。
この症例の方は、手術後ということで、肛門からも残便が出る事も考えられます。しかし、肛門を閉鎖することもあるため詳細は不明です。まぁ、どう考えてもストーマから排泄物が出ると考えられます。
問題点②解説
コメディカルの方は、浣腸の方法について知らない!という方が多いのではないでしょうか?この浣腸という看護技術は、国試で取り上げられるほど基本的な技術となります。また、合併症に今回のアクシデントの様に直腸穿孔を引き起こしてしまいます。
正しい浣腸の方法
①ベッド上
②左側臥位で施行
左側臥位!ということがポイントとなります。
なぜ、右側臥位や立位のままで浣腸を行ってはいけないでしょうか?
まず、腸の解剖学生理から考えましょう。
上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→肛門
参照URL:
なぜ、左側臥位にしなけばいけないのか?
成人の浣腸の挿入cmは、5~6cmです。
それでは、体勢をイメージしましょう。
立位:S状結腸が重力で下がっている状態。
右側臥位:S状結腸、下行結腸が重力で右側へシフトする状態。
この腸!!の動きをイメージ出来れば、自然と右側臥位は駄目なんだ。立位は駄目なんだ!と気づくことができると思います。
温度管理
温度管理→40度~41度
ぬるま湯!と覚えましょう!
まとめ
今回、この様なアクシデントを起こしたことは同職種として非常に残念と思います。また、恐らく新人看護師さんだったんではないでしょうか?新人看護師さんが先輩に看護技術について質問が出来ない環境や基礎教育がなされていなかったのか、本人の問題もあるかもしれませんが。
今回の事例では、
患者さんの状態を考えれば、浣腸は不要であること。
基本的な看護技術を理解していれば、この様なアクシデントは起こらなかったと思います。
先進医療が進んで現状ですが、こういった基本中の基本は押さえておかなければいけませんね!
このサイトでは、他職種の方も多く観られていると思いますので、広めて頂ければ幸いです。
明日は我が身。他人事と思わずに、一人一人の基本に忠実な看護技術の提供 強いては医療の質向上に繋がればと思います。
P.S
先日、新人看護師の方が凄く良い言葉を言っていたので紹介します。
『患者さんの喜びが私たちの喜び』