こんにちは、おしどり夫婦 T&Aです。先日は、補助人工心臓受け込み時に発生する出血の原因としてフォン・ヴィレブランドと動静脈奇形が関連していることを学習しました。まだ、チェックされていない方は
フォン・ヴィレブランドが起こる原因ってなんなんでしょうか??というか、フォン・ヴィレブランドってなに?ということで学習してみました。
本日学習で学べること、目標は?
お断り
私の学習記録になっております。誤解を生むこともあるかも知れません。間違っていることを記載している場合はご指摘をお願いします。
フォン・ヴィレブランド病とは
フォン・ヴィレブランド病 関連疾患 一般社団法人日本血液製剤協会
フォン・ヴィレブランド病は、その原因となるフォン・ヴィレブランド因子(VWF : von Willebrand factor)の遺伝子が変異し、量的な産生低下または質的に異常なタンパク質が作られるために生じます。
遺伝子が関連していることが多く、フォン・ヴィレブランドの役割である凝集能力や第Ⅷ因子の運搬能力が低下し出血を来すことがわかっています。
フォン・ヴィレブランドの働きは?
von Willebrand因子(vWF)は多機能性の蛋白質であり,第Ⅷ凝固因子と複合体を形成してその安定化に寄与している。また、内皮下組織への血小板粘着および凝集に重要な働きをする。
VADを留置することによりフォン・ヴィレブランドを引き起こすメカニズムは?
フォン・ヴィレブランドには後天性で発生することも分かっています。大動脈狭窄症など、弁狭窄部位を血流が通る際に血流が早く流れます。その際にフォン・ヴィレブランドの構造が崩れることがあるとのことでした。この血流が早く流れ構造が変化することをsheer stress(ずり応力)と言います。
どのようにしてフォン・ヴィレブランドの構造が変化するのか?
フォン・ヴィレブランドの構造は?
血管内皮細胞などで産生されるvWFは,N末端同士とC末 端 同 士 が 結合して高分子マルチマ ー(large multimer)として血中に放出される。
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Large multimerとは
血漿中のタンパク分解酵素である、ADAMTS13によって分解され,血漿中では2~80分子のmultimerとして存在している。
第Ⅷ凝固因子の安定化にはmultimer構造は不要
血小板血栓の形成にはlarge multimer構造が必要
大きくなればなるほど血小板血栓形成能が上昇する。
VADによりVWF(フォン・ヴィレブランドfactor)の構造が変化する!?
VADは、高回転ポンプ駆動により血液がポンプ内を通ります。その際にADAMTS13が切断されVWFの構造が変化してしまします。
その結果、止血能に重要である large multimerが欠損してしまいます。
larege multimerが欠損している図は以下 JAVIK2000装着中の方上記右図は、上部のlarge multimerが欠損していますね。連続流により構造変化を起こしてしまうようですね。LVADに限らず、ECMOを留置している方も欠損するのではないでしょうか?臨床で活かせそうですね。
まとめ
本日は、VAD留置に伴うフォン・ヴィレブランド(VWF)の欠損はなぜ起こるのか?メカニズムについて学習しました。
以下に本日学習したポイントとまとめます。
本日の学習ポイント
VWFの役割は、血小板凝集、第Ⅷ凝固因子の運搬、複合体を形成
sheer stressによりフォン・ヴィレブランドを引き起こす
Large multimerは、血漿中で2-80分子のmultimerとして存在する
ずり応力により依存的に切断されるのは、ADAMT13
血小板血栓の形成には、large multimerが必要
ずり応力により依存的に切断されるのは、ADAMT13
結果、VWF高分子多量体の欠損、減少へ
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth/27/3/27_316/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsao/45/3/45_149/_pdf/-char/ja