こんにちは、おしどり夫婦T&Aです。前回のブログでは、JMACSレジストリーより患者背景について学習しました。性差などがありましたがご存じでしょうか?まだ、チェックされていない方は、前回のブログを参考にしてみてください。
www.xn--xck3a0aq6hnc9eydz514duksd.tokyo
本日は、補助人工心臓(VAD)埋め込み後の生存曲線等について今回もJMACSのデータを用いて学習をしてみようと思います。
本日学習で学べること、目標は?
学習の目標:JMACSレジストリーより年次推移や患者背景について学習し、植え込み型VAD留置した患者さんが抱える合併症について学習する
お断り
私の学習記録になっております。誤解を生むこともあるかも知れません。間違っていることを記載している場合はご指摘をお願いします。
1年間 心臓移植の件数は? 約50例
心臓移植件数をご存じでしょうか?まず、心臓移植学会より1年間に行われた心臓移植件数を確認してみましょう。2019年度に実施された移植件数は、48件でした。ここ数年では、平均50件/年でしょうか
補助人工心臓留置から心臓移植までの年数は?1400日
Competing outcomesとは、
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjb/29/2/29_2_141/_pdf
私は統計学はさっぱりのため、参考にしてみてください。
統計から分かること
- 生存曲線×移植=移植までにかかる日数=1400日前後
- ポンプ交換と死亡推移が非常に近い曲線であること→感染や血栓によりポンプ交換に至る症例は死亡率が高い?追って検証します。1700日前後で生存曲線と交わっている。
- 2000日生存している方もいます!!
移植待機年数は、平均で3.8年
生存曲線から心臓移植までの生存率は?
私の方で図を修正しています。
赤の線で繋げている箇所は、移植待機日数である1400日(横軸)と生存率(縦軸)を結びました。
心臓移植までの待機日数までの生存率は8割
- 90日=97%
- 180日=95%
- 360日=92%
- 720日=89%
生存曲線 Primary LVAD vs BTB
Primary LVAD BTBBTB一年生存率
- 90日=96%
- 180日=94%
- 360日=86%
- 720日=83%
1年生存率は、Primary LVADと比較し予測通り低くなっています。
患者プロファイル毎の生存曲線(Primary VADのみ)
患者プロファイル毎の生存
レベル1
- 90日=94%
- 180日=92%
- 360日=89%
- 720日=85%
- 90日=96%
- 180日=95%
- 360日=93%
- 720日=90%
-
レベル3
- 90日=98%
- 180日=96%
- 360日=94%
- 720日=92%
しかし、1年生存率90%のためそれなりの高さではないでしょうか?今後、デバイスの品質改良、医療の進歩で1年生存率を伸ばしていきたいですね!!
生存率を下げる合併症(有害事象)は?
装置の不具合
装置内血栓、外部コントローラー、外部バッテリー、ポンプ駆動部に発生した不具合
主な感染
DLI,ポンプポケット等に発生した感染
神経機能障害
脳卒中(頭蓋内、塞栓症)、けいれん等
大量出血
死亡の原因となる。或いはリオペなど
右心不全
RVADの植え込みを必要とする、あるいはLVAD埋め込み後の一酸化窒素吸入または強心剤による治療を必要とする右心機能障害
不整脈
入院を必要とする、入院中の臨床的に危険な状態にいたる脈(VT,VFなど)
心嚢液貯留(心タンポ)
外科的処置、経皮的カテーテルドレナージを必要とする心嚢内での体液貯留、コアグラの蓄積