おしどり夫婦T&A

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【JMACS関連】JMACSレジストリより患者背景について分かりやすくまとめてみた

こんにちは、T&Aです。前回のブログでは、植え込み型補助人工心臓の埋め込み前の心臓疾患について説明しました。結論から述べると日本で埋め込まれている多くの疾患は、拡張型心筋症(DCM=Dilated cardiomyopathy)でした。
まだ、ご覧になっていない方はチェックをお願いします。
www.xn--xck3a0aq6hnc9eydz514duksd.tokyo

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VAD 患者背景について JMACSレジストリーより T&A
本日は、JMACSレジストリーより植え込み型人工心臓(VAD)の年次推移や患者背景についてご説明します。年次推移等を確認することで今後日本の医療がどのようにchange していくかinnovationしていくかが予測できるのではないでしょうか?また、レジストリーを理解することで患者さんへ説明する際にも根拠を持って説明することが出来るようになるのではないでしょうか?


本日学習で学べること、目標は?
植え込み型人工心臓(VAD)年次推移や患者背景について学習する


学習の目標:JMACSレジストリーより年次推移や患者背景について学習し、今後の日本の医療がどうように変化するかを述べる


お断り

私の学習記録になっております。誤解を生むこともあるかも知れません。間違っていることを記載している場合はご指摘をお願いします。

データの抽出期間

2019年4月30日までに埋め込みを行った適格患者の2019年6月30日におけるデータを抽出

※2020年度のデータは現在解析中でしょうか?今後、レジストリーにupされればこちらのサイトでも追跡分析を行っていきます。

定義

データ分析の対象は?
Primary LVAD+BTB合計945例
J-MACSに登録された1130例のうち以下の条件は除外となる。

  • 登録情報不足(7例)
  • 体外式VAD(145例)
  • ポンプ交換(125例)
※ポンプ交換例は、継続データとして初回埋め込み型VADデータに統合

Primary VADとは

過去に体外式VADの使用経験がない(768例)

BTBとは

過去に体外式VADの使用経験がある


ポイント

体外式VADはデータ分析に含まれない

ポンプ交換例は、初回データに統合される

Primary VAD,BTBの違いについて学習が済みましたので新規埋め込み数の年次推移について確認していきましょう。

新規埋め込みVAD数の年次推移

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出典:http://www.jpats.org/uploads/uploads/files/J-MACS%20Statistical%20Report%EF%BC%882010%E5%B9%B46%E6%9C%88-2019%E5%B9%B46%E6%9C%88%EF%BC%89.pdf

如何でしょうか?
年々、新規埋め込みLVAD数は右肩上がりとなっています。
2019年は、945例の方が埋め込み型VADを留置されています。
約8割は、Primaryということとなりました。

BTBの方は、117例と約2割の方です。

VAD患者背景 性差は?

全体数;男性75%、女性25%
男性の比率が非常に多くなっています。何か影響はあるのでしょうか?詳しくありませんが、DCMの性差と関連しているのでしょうか?
調べてみた結果、拡張型心筋症の性差は、男性が7割、女性が2割の割合で多いことがわかりました。また、男性の方が重症化し易いとのレビューとなっています。参考URLでは、なぜ男性が重症化し易いのか?が調査されていました。詳しく知りたいかたは、URLからアクセスをお願いします。http://www.tmd.ac.jp/mri/press/press19/index.html

VAD 埋め込みの多い年齢は??

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VAD患者背景 T&A http://www.jpats.org/uploads/uploads/files/J-MACS%20Statistical%20Report%EF%BC%882010%E5%B9%B46%E6%9C%88-2019%E5%B9%B46%E6%9C%88%EF%BC%89.pdf
  • 30-39才 20%
  • 40-49才 26%
  • 50-59才 26%
結果、30ー59才までの方で約7割を占めていることとなります。

VAD埋め込みの平均年齢は?

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  • 年齢=43才
  • 身長=166㎝
  • 体重=57kg
  • BMI=20%
  • BSA=1.6
  • 上記は覚えやすいように敢えて前後差を抜いています。詳細は、JMACSデータを参照

心臓疾患の初回診断から植え込みまでの期間は?

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VAD T&A http://www.jpats.org/uploads/uploads/files/J-MACS%20Statistical%20Report%EF%BC%882010%E5%B9%B46%E6%9C%88-2019%E5%B9%B46%E6%9C%88%EF%BC%89.pdf
  • 1カ月~1年 21%
  • 2年以上   72%

心不全は、回復、増悪を繰り返す疾患であり心不全初期にはdrugでcontrolしています。
しかし、drugでcontrolが出来ず、2年以上をかけて増悪していきます。

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https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf ガイドラインより

VAD 埋め込み前の患者プロファイルは?INTERMACS JMACS

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http://www.jpats.org/uploads/uploads/files/J-MACS%20Statistical%20Report%EF%BC%882010%E5%B9%B46%E6%9C%88-2019%E5%B9%B46%E6%9C%88%EF%BC%89.pdf
レベル2=40%
レベル3=47%

レベル1=体外式VAD(ECMO IMPELLA)を埋め込まれている方が多く基本的には埋め込み型VADの適応外。しかし、8%の方が埋め込まれていることもポイントになってくるでしょう。早期に埋め込み型VADに移行しなければならないと判断されていることでしょう。

まとめ

本日は、JMACSレジストリより植え込み型VAD患者の背景について調査してみました。


ポイント

体外式VADはデータ分析に含まれない

ポンプ交換例は、初回データに統合される

primaryVAD=初回埋め込み

BTB=体外VADからのブリッジ

2019年は、945例埋め込み

Primary は8割

性差=男性7割

年齢=30-59才で7割を占める

平均年齢=43才

初回診断から2年以上で埋め込み約7割

患者プロファイルは、2~3=9割

以上が今回学習したこととなります。
本日も勉強になったよ!と言う方がいればシェアがはてなブックマーク、☆を飛ばして頂ければ幸いです。


お断り

私の学習記録になっております。誤解を生むこともあるかも知れません。間違っていることを記載している場合はご指摘をお願いします。